千趣会アルバム 1
おいしいものを描くのは大好き。イラストの仕事をはじめたころは、お料理のプロセスカットをたくさん描きました。
けれど、お料理というのは優しいタッチの線で、しかも、色鉛筆や水彩、カラーインクといった淡い色合いの彩色がおいしそうにみえるものです。わたしの線はロットリングの0.1ミリで描くうえ、色も切り絵で鋭角的です。
はじめは自分の描くお料理たちがお好み食堂の入り口に飾られたサンプルのようにどこか硬く冷たくみえるのではないかしら、とびくびくしていたものでした。あったかみをだしたくて、すごく悩んで、やわらかい鉛筆を使ったり、いろいろな技法に挑戦したりもしてみました。でも、やっぱりわたしはかりかりと、とんがったロットリングで描くことをやめられず、結局、この線で、この着彩で、今も食卓まわりを描き続けています。
不思議なもので、書き続けているとお料理からおいしそうな湯気が立ちこめてくるようになりました。大好きなものだから、自分にいちばん合った方法で表現するのがいちばんなんですね。


Come mangiano Italiani
千趣会(写真アルバム表紙)
AD 太田賀司彦
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